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15の磁石

【上位概念】

企業理念や経営ビジョンなどのことを、企業経営の「上位概念」と言いますね。

上位の概念ですから、企業経営で最上級に大切な考え方を明文化したものという意味ですね。

「当社は何のために存在するのか」

「目指しているものは何か」

「それを達成するため何をするのか」

という経営の基本となる考え方のことで、一般的に以下の4つの要素で表されます。

・企業理念

・コア・コンピタンス(核となる競争優位性)

・事業ドメイン(事業領域)

・ビジョン(将来像)

企業によっては、コア・コアコンピタンスをコア・バリューと言ったり、事業ドメインをミッションと言ったり、様々です。

行動規範や行動指針という言葉で、社員一人ひとりが、企業理念の実現に向けて取るべき行動の方向性を明文化して、それも含めて上位概念と考えている企業もあります。

社員の行動規範や行動指針を「コア・バリュー」と呼んでいる企業もありますから、様々です。

私は、次のような定義を日頃使っています。

企業理念:企業の存在意義、存在理由(何を実現したくてこの会社を作ったのか)

ミッション:企業理念の実現手段(何の事業を通じて企業理念を実現しようとするのか)

ビジョン:ゴール設定(いつどんな状態に持って行くつもりで経営しているのか)

行動指針:社員一人ひとりの大切にすべきこと(具体的に何を大切にして行動すればいいのか)

定義については、「これが標準」という決まりごとはないので、企業内で浸透さえすればそれでいいのですが、何しろその「浸透」が難しく永遠の課題ですね。

【“ブレイクダウン”で自分ごとに】

各社、あの手この手で浸透に努力されているんですが、最大のポイントは、社員一人ひとりが、内容をいかに「自分事(じぶんごと)」として受け止められるかにあると思うんですよね。

自分のものになっていないのに、いくら唱和しようと、カードにして配ろうと、社内に貼りだそうと行動に移されることはないですよね。

意味の腹落ちの無いお念仏状態は、実に残念ですね。

組織変革コンサルティングの過程で、企業理念(上位概念セットで等も含めて)の再構築や、浸透策の支援などもさせていただきましたが、どうやら「ブレイクダウン」の作業は不可欠なようです。

「ブレイクダウン」というのは、部門で具体化したり、自分で咀嚼することを言います。

・部門単位でのブレイクダウン

企業理念はわが部門で言ったら、具体的にはどういう解釈になるのか、を所属メンバーで話し合いイメージをすり合わせます。

・個人単位でのブレイクダウン

企業理念は、自分自身の立場では、具体的にはどういう解釈になるのか。

行動指針(規範)は、自分自身の日頃の行動、特に習慣には具体的にどのように落とし込めばよいのか。

等、時間を取って、自分なりの解釈と、日頃の行動への落とし込み作業を行います。

このブレイクダウンの段階で、言葉がしっくり来ないようであれば、自分達で(自分で)修正を加えて自分なりの言葉にすることがあってもかまわないと思うんですね。

制定の際に込めた趣旨や思い等から外れては困るのですが、言葉の正確性よりも自分の腹落ち感を優先しないと、自分事にして「行動に移す」という目的が達成できません。

「行動指針」「行動規範」の類の言葉遣いは、個人の好みや趣味の領域になるので、自分自身のしっくりくる言葉にしておくことは大切だと思うんですよね。

【行動指針の実践こそ肝】

さて、社員一人ひとりが具体的に意識するのは、行動指針(規範)ですよね。

これについては、日頃の具体的な行動や習慣の中でいかに意識するかが勝負なので、工夫が必要です。

クレドカードのような形で携帯するようにすることは、時々確認することをしてくれれば悪くはないと思うのですが、すべて頭に入った状態でないとまず実行されませんね。

一旦すべてを頭に入れる、という目的では、毎朝の暗唱も悪くないと思うんですね。

悪くはないのですが、いかんせん楽しくないですし、効率もよろしくないという問題がありますね。

もちろん株式会社GOOD and MOREにも上位概念はちゃんとありまして、行動指針もバッチリ決めてましてね。

15個あるんですよ。

それぞれに3つの具体的な意味づけをしているので、15×3=45個を加えて、トータル60個の言葉を日頃の行動の指針にしているわけなんです。

この15(細かくは60)の指針を常に頭に入れておくのは、とても大変なんです。

かと言って、たまに眺めるぐらいでは実践することになりません。

全て重要で、覚えやすいように数を削る気にもなりません。

これを全部毎日唱和して暗記する気にもなれませんでした。

そこで、ある記憶術のセミナーで教えてもらった「15の磁石」という技を実践してみたんです。

これが非常にいいんですよ。

お勧めですね。

せっかくなので、具体的に紹介したいと思います。

長くなりますので、ご興味があればご覧ください。

【Energize Values】

株式会社GOOD and MOREの上位概念(ビジョンは割愛)は以下のようなものなんです。

◆企業理念:energizerになる

◆ミッション:人と組織に自信と勇気と活力を!

◆行動指針(Energize Value)

人との関係/モノの考え方/行動/仕事/生き方 の5つのジャンルに3つずつの大事にしたいキーワードを定めました。

この膨大なEnergize Valuesを何とか全部頭に入れようと思いまして、記憶術セミナーで習った「15の磁石」というのを使ってみました。

これは、簡単に言うと自宅から三鷹駅までの通勤路の目印を15個決めて、行動指針(Energize Values)の15個のキーワードに紐づけて、その場所に行ったらその言葉を声を出して確認する、という方法です。

これを毎日続けます。

最初のうちは見ないと出てこないのですが、1ヶ月もすると口をついて出て来るようになるというわけです。

【15の磁石ドキュメント】

実際にどんな感じなのか、景色と言葉の組み合わせ(磁石)を見てみましょう。

自宅マンションから三鷹駅に歩くまでの間に、その場所に来たら紐づけているキーワードを声に出して言いながら、どのように実践するかを考えます。

1.マンションの玄関

〈GNOを最優先する〉

義理・人情・恩返し  まごころを尽くす  GIVE&GIVE,GIVE

2.宍戸動物病院

〈目の前の人を大切にする〉

その人のことをよく知る

 違いを尊敬する  喜んでもらう

3.コーヒーはちや

<人と繋がる>

 繋がる場に出る

 顔と名前を覚える  交流記録

4.宮崎耳鼻咽喉科

〈Simple Life〉

 シンプルに考える

 整理整頓する  分かりやすく伝える

5.木下邸

〈Smile Life〉

 陽転思考で生きる  マイナス言葉を使わない  遊び心満載

6.cafe.nakagawa

〈Slow Life〉

 自然か不自然か

 人間として  歩く速さで

7.スペースあんさんぶる