なってからでは手遅れ!
【管理職先取り研修】
あるお客様企業が教育研修体系を見直しました。
特徴的なプログラムがひとつあったんですね。
管理職手前の中堅社員に、管理職の守備範囲を提示して、自分達がその立場になったらどうするかを考えてもらうという斬新なものなんです。
これはいいですね。
いいと思う理由は3つあります。
1.なってからでは間に合わない
たいていの場合、メンバー時代に評価の高かった者(業績を上げた者)を管理職に選びますよね。
で、数日間の「管理職とは何ぞや」という新任管理職研修をして、部下マネジメントをはじめとしたチーム運営に臨むことになります。
実務上の業績の高かった者が、マネジメント適性があるという相関は、長い目ではあるかもしれませんが、短期的には厳しいところがあり、うまくいかないケースも多いですね。
修行期間、見習い期間があればスムーズに移行していけるのではないかと思います。
私が在籍していたリクルートでは、一般社員で課長の次に位置する人を「01(ゼロワン)」と呼んで、課長見習い的な仕事をする習わしがありました。
ひとつの課を二つに分けて、大胆に「ゼロワン」に勝手に運営を任せる課長もいれば、「ゼロワン」と「ゼロツー(課長の次の次の社員)」の下に数人の若手メンバーをつけて、係長(そういう役職はないのですが)的な立場でチーム運営をさせている課長もいました。
全てがうまくいっていたわけではありませんが、メンバー時代に意識が高まり、チームマネジメントを実地で学ぶことになり、課長になったら即戦力という人も少なからずいました。
2.守備範囲を俯瞰することに意味がある
下に、管理職の役割の全体像(管理職の仕事とは?)の図をつけてみました。
これは、実に大雑把なものですが、この記事の下の方にそれぞれの意味するところ、具体的にどういうことを言っているのかを書いておきました。
少しイメージしてもらえるのではないかと思います。
このように管理職に昇進した時に、全体としてどんな世界が待っているのかを俯瞰してイメージしますと、現在の自分の強み弱みを先取りして考えることができます。
今の延長上で何とかなる感覚のものと、きちんと今から取り組まなくてはいけないこと、学ばなくてはいけないことのイメージを持つ助けになると思います。
現在管理職の皆さんにも、ぜひこうした形で守備範囲を今一度俯瞰して、自分自身を振り返る機会を作ってみていただきたいと思います。
3.上司を見る目が変わる
別の視点になりますが、メンバーというものは、意外に管理職である上司の守備範囲というものを理解できていないんですね。
視座といいますか、見える世界が大きく違うのだと思います。
日頃自分の上司の役割行動では、認識できないことでも、このような形で全体像で確認できますと「あ~、課長はこのようなことをしていたのか」「課長の仕事は全体としてこういう構造になっているんだな」と、理解することができ、距離もグッと近づくのではないかと思います。
人によっては「課長も大変なんだな」と見直すところもあるのではないでしょうか。
集合研修で、管理職の仕事の全体像を俯瞰してもらい、昇進するまで何をして心構えするかを考えてもらうこの研修は、とても効果的だと思います。

以下が、上の管理職の全体像(管理職の仕事とは?)の補足説明です。
①WHY
チームの存在意義や仕事の本質的な目的を自分の言葉で語る
メンバーのエネルギーを高める源泉となる
〈組織マネジメント=② × ③〉
②組織を創る
組織の体制を構築する(効果的な役割分担)
チームワークを向上する(メンバーの人間関係に気を配る)
エネルギーを上げる取り組み(活性化の施策を実行する)
③人材を育てる
部下の育成計画を立てる(行き当たりばったりにしない)
成長機会や学習の場を作る(全社の研修に頼らない)
GOOD&MOREで育てる(ダメ出し一辺倒にならない)
〈ビジネスマネジメント=④ × ⑤〉
④戦略を実行する
部門の戦略を立案する
適確な指示を出す(外部スタッフも含めて)
PDCAサイクルを回す(必要に応じて軌道修正する)
⑤変革を実行する(メンバーと共に)
商品・サービスを進化させる
業務プロセスを革新する
職場課題を発見し解決する
⑥戦略を常に考える
アンテナを高く持ち、ビジネス環境の変化を読む
現場のビジネス環境の変化の情報を経営に発信する
全社戦略と部門戦略を統合させる
⑦自らを磨く~部下の模範として
自らの知識と能力を高める
業界問わず社外のネットワークを形成する
教養を深め、人格を磨く