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負のエネルギーに着目する

組織戦略の一環として、「人と組織のエネルギーを上げる取り組み」が課題になる場合が多いこのごろです。

どんなに素晴らしい事業戦略でも、それを実行するのは社員であり、チームのエネルギーが低い状態では、戦略の実行度が上がらず、絵に描いた餅になってしまいます。

人と組織のエネルギーをどのようにして上げていくかを、管理職の皆さんに考えていただくような機会に、時間に余裕のある場合は、エネルギーを上げることだけではなく、下げないこと、下げる要因(負のエネルギー)を取り除くこともあわせて考えます。

日常的に考えられる「負のエネルギー」を見てみたいと思います。

これらは、今野誠一がこれまでの自社の組織においても気をつけていることです。

1.上司という存在の負のエネルギー

上司が大きくふりまいてしまいがちな、3つの負のエネルギーがあります。

①BAD & NO

②保身

③無責任

「BAD&NO(バッド・アンド・ノー)」とは、駄目出し中心のマネジメントのことを言います。

あれも駄目、これも駄目という駄目出し(BAD)を日頃から繰り出して、それが積み重なって、最終的には社員を諦める(NO)ことです。

NOの典型的な台詞は「お前はだから駄目なんだ」です。

上司は思うままに軽い気持ちで、言っているのですが、それを受け取った社員の側には、上司から諦められているんだなあということが、そこはかとなく伝わっていきます。

「保身」は、自分の立場を守ることを優先させることです。

ひどい場合には、上司が自分の保身のためにミスやトラブルを部下のせいにするようなことも起こってきます。

それをされた部下はかなりのエネルギーダウンになります。

「無責任」は、自分の役割を果たさないことを言います。

部下をほったらかし、所謂ノンマネジメント状態というものです。

2.組織が持っている負のエネルギー

組織自体に存在しがちな、3つの負のエネルギーです。

①過度な管理

②コミュニケーション不足

③過度な危機感

「過度な管理」は、組織を統括統合していくための、管理に関わる仕組みが文字通り厳重過ぎて、それに関わる各種の手続きが社員の負担感を大きくしている状態です。

物理的な手続きの負担があることに加えて、がんじがらめの管理体制が、「会社から信用されていない」「自由度がない」という精神的なマイナスに作用する場合もあります。

「コミュニケーション不足」は、様々な理由でコミュニケーションが不足することによって、必要な情報が共有されずに行き違いが起こったり、コミュニケーションがうまくいかなくて誤解して伝わっている状態です。

そのような場合には、「言った言わない」で気まずい関係になったり、誤解によってやったことが無駄になったり、やり直しが起こってしまうような事態がエネルギーを下げることになります。

「過度な危機感」は、企業業績などが思わしくなく、立て直し局面を迎えた場合に、トップが全社に危機感を要望するような場合に問題になります。

往々にして経営者は、社員全員に自分と同じレベルで危機感を感じてもらいたいと思うものですが、取締役から新入社員まで同じ危機感を持たせることは、現実には無理があります。

役割と責任の大きさに応じたレベルの危機感を持ってもらうことを目指して、情報共有や意識づけを考えていく必要があります。

3.自分自身の負のエネルギー

最後は、一人ひとりに存在する負のエネルギーです。

①自分を責める

②他人を咎める

③嘘をつく

「自分を責める」は、仕事が思うように進まなかったり、大きな失敗をしてしまったような場合に、必要以上の反省で自分を責めることによって、立ち直ることに時間がかかったり、そのことによって仕事に滞りが生じる事態になるということです。

これは、失敗が許容されるかどうか等、企業全体の風土にも大きく左右されます。

「他人を咎める」は、1.の「上司という存在の負のエネルギー」の“BAD&NO”の裏返しともいえる現象で、他人を咎めることによって「咎めた人自身」に生じる負のエネルギーです。

他人を咎める文化を持っていると、咎められた側だけではなく、咎めた側にとってもエネルギーを消耗し、組織全体のエネルギーが下がる要因になるのです。

「嘘をつく」というのは、多くの場合「やったふり」をすることです。

例えば上司から「プロジェクトの進捗はどうだ?」と聞かれた場合に、まだ何も手をつけていないのに「はい。順調です。もう5合目くらいまで来ています」などと進捗を繕うような場合です。

これは、そうした嘘をついた人自身のエネルギーも下がるのですが、そうした態度は、身の周り、特に部下には不思議とよく見えているもので、部署全体のエネルギーを下げることにつながります。

「この部署は、あのような嘘がまかり通るところなんだ」という認識を持つことによるエネルギーの低下です。

リーダーが、こうした組織内に存在する負のエネルギーを理解し、それらを撲滅していくように意識していくだけでも、状況が大きく改善されてくるのです。

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