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人事部長をやり直せるとしたら



23年前に独立起業しましたが、この23年間は本当に山あり谷ありでした。


正直に言いますが、何度か古巣の仕事を懐かしく思い起こすこともありました。


もちろん前に進むしかないわけですが、コンサルタントとして多くの企業様と経験を積む中で「今だったら(人事部長の仕事を)もっとうまくやれたのに」と思うことが多々ありました。



【人事部に異動して決めたこと】


総務部次長だった30歳の時に人事部へ異動の発令が出たんですが、最も困惑した異動でした。


何しろ会社を下支えし、イベント等で活性化する総務部の仕事が大好きで、天職だと思っていましたから。



採用したり教育したり、配置したり、人に関わる仕事に自分が関わるイメージはゼロでした。


人事部次長でしたが、上司は役員さんでしたので実質人事部長でした。

(1年後に人事部長)


やるからには嫌々ではなく自分らしい仕事をしようと思いまして、3つのことを決めました。


1.社員を徹底的に知ること

2.サラリーマンにはならないこと

3.外との接点を増やすこと





【社員を知るということ】


最初の3ヶ月で取り組んだことは、とにもかくにも社員を覚えることでした。


当時社員数は1,200人くらいだったと思います。


英単語を覚える時などに使う単語帳の表面に氏名を書き、裏面に「部署」「異動歴」「入社年次」「出身校学部学科」「出身地」を書きます。


朝な夕なに、時間さえあればそれを手に、ぶつぶつぶつぶつ言いながら記憶していきました。


連日、トイレにまで持ち込んでブツブツブツブツやっているので、妻にすっかり呆れられてしまっていました。


当時、会社では内線番号表が顔写真入りでしたし、個人情報もまだうるさくない時期で、プロ野球名鑑なみの顔写真入りの社員名鑑がありましたから、それを使って顔と名前も一致させていきました。


次は評価内容です。

直属上場の記入した評価シートを読み込みまして、これも頭に入れていきました。


その後3年間に新卒採用に力を入れましたので、ピーク時は1600人の社員を頑張って頭に入れていました。


誰に言われたわけでもないのですが、社員を知らずして人事の仕事はできないと思い、まずは闇雲に取り組んでみたわけです。


これは、役員会で評価を決める上でも、人事異動の検討をする上でも、現場に行って社員と面談する上でも絶大な威力を発揮しました。


この「社員を知る」ということについては、自分なりに努力したわけですが、もう一度やり直すことができるとしたら、どうするだろうなあ、と考えてみました。



【もう一度やり直せるとしたら】


人事部長として「社員を知る」ということについて、仮にもう一度やり直すことができるとしたら・・・


1.今と未来に目を向ける


私がやっきとなって覚えていたことは、これまでの彼や彼女がどうだったかという過去の情報であり、データベースに頼って「調べればわかる」情報です。


もう一度やり直すとしたら、データベースで分ることを覚えることに時間を使うのではなく、社員一人ひとりが現場で何を感じ何に悩み働いているのか。


そして、将来はどのような姿を目指して頑張っているのか?


それを会社としてどのように実現のサポートができるのか?


その辺りを知り、考え、動いていくことに時間を使うようにするかもしれません。



2.直属の上司がどう見ているかを知りたい


当時の私は「自分で知り、自分で覚える」ことに膨大なエネルギーを使っていました。


もしやり直せるとしたら、直属の上司とのすり合わせに時間を使いたいと思いますね。


直属の上司が自分の部下の一人ひとりをどのように見、どのような教育ポリシーを持って育てようとしているのか。


全社の管理職と膝詰めで語り合い、部下マネジメントに特化したコーチング的時間を持っていきたいと思います。


自分だけで足りなければ、人事課長と分担してでも、やりたい。


そのことを通じて、人事は社員の状況が分かり、上司(管理職)のコーチングもできるという一石二鳥を目指したいですね。



3.現場の息吹を知る


当時の私は、熱心に現場を観にいく方ではありませんでした。


二つの言い訳をしていました。


・人事部の守備範囲の広さ(採用・教育・評価・配置・労務管理・福利厚生)を言い訳にしていました。

・「人事部長があまり現場を回っても現場はあまりいい気がしないのでは」と気を遣ったふりの言い訳をしていました。


今の自分は、事業戦略と組織戦略の連携の重要性を痛いほどわかっていますので、人事部長のやるべきことの再整理をして、相当課長とメンバーに任せてでも現場に顔を出し、現場の息吹を感じながら事業戦略がどのようになっているかを知る努力をするのではないかと思います。


とにかく「現場主義」です。


人事は机にかじりついていてはいけないと思います。


今日は、「社員を知る」ということについて、人事部長を仮にやり直すことができるしたら、どうしたいだろうかと考えてみました。



人事に異動した時に決めた3つのこと

1.社員を徹底的に知ること

2.サラリーマンにはならないこと

3.外との接点を増やすこと


の中から、次回は「サラリーマンにならないこと」で当時考えていたことと、やり直すとしたらどうするだろうかを考えてみようと思います。

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