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夢の交差点

【評価は難題】

「組織や人事の仕事をしてきて、一番難しかったことは何ですか?」

これも時々聞かれる質問ですね。

総論で言えば、「事業戦略が着実に実行されるにふさわしい組織戦略を作り上げること」です。

現場の事業と、本部の総務や人事が一体感を持って連動した(マッチした)戦略を描くのは簡単ではありませんね。それだけに、それをきちんとできている会社は強いと思います。

そして、各論で言えば、「評価の仕組みづくり」ですね。

両方とも永遠の課題ですよね。

「これしかない」というような、どの会社にも当てはまるような正解がない世界ですので、うまくいってそうな会社の仕組みをそのまま真似しても、まずうまくいくことはありません。

結局のところ、自社なりに一生懸命考えて作るしかないですし、やってみないと分かりません。

組織戦略については、おいおい書いていこうと思うのですが、今日は「評価」についてです。

【目標管理制度がうまくいかない理由】

私の感覚値では、10社に8社ぐらいの割合で評価の仕組みに「目標管理制度」を導入していますが、さらにそのうちの8割は問題を感じているのではないかと思います。

・目標設定の曖昧さ

・期初に決めた目標が環境や方針の変化で意味のないものになる

・目標にしなかった仕事の取り扱いが後手に回る

等々、機能的な側面でうまくいっていない理由がありますが、結果、運用の結果全体のエネルギーが下がってしまっている組織も多いと感じますね。

その理由を考えているんですけどね。

私が思うに、追いかける目標自体が「自分事(じぶんごと)」になっていないことが一番の理由なのではないかという気がします。

その目標を達成することが、会社のためになることは分かっているが、果たして自分のためだと思えているかどうかです。

とどのつまりマネジメントの基本というのは、ここに集約されるような気もします。

「いかに個人の目標と組織の目標を両立させることができるか」という問いですね。

【夢の交差点】

この「いかに個人の目標と組織の目標を両立させることができるか」という問いは、評価制度に限らず、社員が会社に勤め続ける理由として、とても重要な視点ですよね。

若手社員の自分自身を振り返る研修等に、『夢の交差点」というワークを時々組み込みます。

①自分が会社から期待されている役割を書き出します。

②次に自分が3年後~5年後に目指す(ありたい)姿を描きます。

③ 会社からの期待(①)に、どのような形で応えていくと、自分の目指す姿(②)に近づくことができるかを考えます。

ワークシートを載せられないので分かりにくいかと思いますが、このワークをやってみますと、日頃あまり考えていなかった会社で(この職場で)働いている意味を考えることになります。

会社のビジョン(社長の夢)と、自分のビジョン(将来の目指す姿)に接点があるから、今の会社で働いているわけですね。

その接点を「夢の交差点」と呼んでいるわけです。

その接点がいつまでも変わらないということはない(お互いの夢が変わることも往々にしてある)わけですが、接点をなるべく明確に意識して意思を持って取り組んだ方が、そうでない時よりも恐らく結果もよくなり、得られるものも多くなる可能性が高いと思うんですね。

「いつまでいるか分からんけど、いっちょう社長の夢につきあってやるか」という発想でも十分だと私は思うんです。

【ある会社の人事制度】

私が支援しているある会社の人事制度の例なのですが。

半期の目標を立てる時に、2種類の目標を立ててもらいます。

〈A:チームでの役割目標>

所属しているチームの役割分担で、半年間どんな仕事をするのか、によって業務上の目標を決めます。

〈B:自分自身の自己目標>

自分自身の3年後~5年後の目指す(ありたい)姿の実現に向けて、半年間何をするかという個人目標を決めます。

毎回、このA(組織上の目標)とB(自己実現目標)を追いかけるというわけです。

この取り組みは、とてもよいと思いますね。

AとBの目標は、関連づけられている必要はないルールなのですが、繰り返していくうちに自然に組織上の目標と自己実現上の目標は、自分の中でリンクしてくるんですね。

かなり実務的なブログになってしまいますが、今日言いたかったことは・・・・・

マネジメントの基本というのは「いかに個人の目標と組織の目標を両立させることができるか」に集約される、ということですね。

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