外食マネージャーのためのぶれないプライドの創り方
諸事情により、ブログを2ヶ月間休みましたが、再開いたします。
今日は、大先輩の著書を紹介したいと思います。
モスバーガー(MOS)を運営している、株式会社モスフードサービスの元専務の田村 茂さんの本です。
【人生の師匠との出会い】
田村 茂さんは、私の人生の師匠です。
私の友人から田村さんを社員研修(講演)の講師として招いたという話を聞いたのは、10数年前のことでした。
「いやあ、よかったよ。ホスピタリティーは小手先じゃなく、生き方が現れるってことを実感させられる講演だった」と彼は言って、こっそり講演録を見せてくれました。
当時はまだ現役でいらっしゃったので、MOSのマーケティングの話が中心だったのですが、その友人の言葉通り、経営戦略やマーケティング戦略といった教科書的なものを超えた、生き様を感じさせる言葉が講演録に散りばめられていたわけなんです。
その後、とある機会にお会いすることができ、私の経営する会社のセミナーの講師としてご登壇いただいたんですね。
その講演でも、ご来場者は皆さんメモしまくりで、様々な現場でのエピソードに涙ぐむ方もおられたぐらいでした。
それを機会に、顧問として経営にアドバイスをいただくようになり、公私共にご指導いただき応援していただく関係が続いています。
【書籍の出版】
そんな師匠が、現役を引退して数年。満を持して著書を書かれました。
タイトルは「外食マネージャーのためのぶれないプライドの創り方」です。
もちろんさっそく読ませていただきました。

(推薦者の櫻田 厚会長が著者のように見える帯ですね(苦笑)。増刷の際はぜひ著者名を大きくしていただきたい)
一気に読ませていただいて、10数年前にしていただいた講演の様子を思い出しました。
講演の時同様、本の中でも現場でのエピソード満載。
どこまでも「現場主義」を貫いておられる方です。
執筆にとりかかっておられることは伺っていましたが、出版が決まった途端の新型コロナウイルス騒動。
ご本人は、「タイミングがね~」と心配されていました。
何しろ、緊急事態宣言による営業自粛(時間短縮も含め)要請で、外食産業は寒風が吹き荒れているわけですから、無理もありません。
私も当初は、最悪のタイミングのように感じていたのですが、在宅ワークが続く日々の中で読ませていただいて、考えが変わりました。
言うまでもなく、生きていく上で欠くことのできない「衣食住」のひとつである食の充実と、生活の潤いと活性化に寄与する外食産業が必要とされないわけはありません。
アフターコロナにおいてのリモート化が騒がれていますが、食をリモート化することはできませんし、外食産業が「人」の産業であることは変わらないか、むしろ制約が多くなるからこそ、ますますホスピタリティーが重要になるように思います。
そういう意味では、現場のマネージャーの皆さんがぶれないプライドで仕事にあたり、揺るぎないブランドの核になっていくことは、最重要テーマとも言えるかもしれません。
そのように考えると、タイミングが悪いどころか、今こそ必要とされる本と言っていいと思います。
ぜひお読みいただきたいと思いますが、ご参考までに目次を次に記載しておきたいと思います。
ご覧いただければわかりますが、外食産業に携わっていない方にとっても参考になる「エピソード」満載の本です。
長くなってますので、あらためて触れる機会も作りたいと思いますが、読ませていただいて私の専門である組織について、リーダーシップについて、色々と考える機会をいただきました。

(「縁心力」は田村茂氏の造語ですが、非常にいい言葉だと思います)
【目次:8章からなっています】
プロローグ 「人生は出会い」~モスバーガー創業者 櫻田慧との出会い~ 第1章 モスで学んだ7つのこと 第2章 「成長できる職場」との出会い 第3章 使命感が作る「プライド」と「ブランド」 第4章 7つのエピソードから学ぶホスピタリティー 第5章 職場を活性化させるリーダーの役割 第6章 地域で愛され続ける外食店の共通点 第7章 競争に負けない、外食業のマーケティング 第8章 それでも折れそうな時のための「心のサプリ」 エピローグ:外食産業には挑戦と成長の機会があふれている』
【各章の一言紹介です】
『第1章 モスで学んだ7つのこと』 会社の存在理由から、現場での仕事の仕方まで、モスで学んだ重要なことが、田村さんの現場でのリアルな経験エピソードを持って語られています。
『第2章 「成長できる職場」との出会い』
都市銀行を辞めてモスに転職してからの、田村さんの成長ストーリーから「成長とは何か?」を考えさせてくれる内容になっています。
『第3章 使命感が作る「プライド」と「ブランド」』
この章が本のタイトルにもなっている中心の章で、プライドとブランドについて、熱く語られています。実は田村さんはマーケティングの専門家なのですが、あくまでも現場エピソードを持って語られています。
『4章 7つのエピソードから学ぶホスピタリティー』
個人的には、最も好きな章で「ホスピタリティー精神」の大切さが、ここでもあくまでも実話エピソードを持って語られます。ホスピタリティーは外食産業のみならず、万国共通全産業で必要な精神ではないでしょうか。ぜひご一読を。
『第5章 職場を活性化させるリーダーの役割』
本のタイトルに「マネージャーのための」とありますが、リーダーが日頃何を考えて取り組むべきか、マニュアルには書きようがないであろうマインドがアドバイスされています。
『第6章 地域で愛され続ける外食店の共通点』
章のタイトルは漠然として見えますが、ここでもあくまでも現場リーダーがどのようなマインドで店づくりに臨むべきかがアドバイスされています。
『第7章 競争に負けない、外食業のマーケティング』
上に田村さんは「マーケティングの専門家」と書きました。ともすれば理屈先行になりがちなところを、独自の切り口を提供してくれています。専門家としてさらに詳しく書きたいところを我慢されているようにも見受けられますが。
『第8章 それでも折れそうな時のための「心のサプリ」』
この本を読んだお店をやっている友人の何人かに話を聞いたところ、この章が一番ありがたかったという感想を言ってくれました。