組織の30人の壁

2020/08/31

【組織ラジオ始まりました】

先日から、組織のコンサルユニット「いまのたかの」のインターネットラジオ「組織ラジオ」が始まりました。

 

https://stand.fm/channels/5f1565af36e4dd5a2d8deb6d

 

 

第一回は、企業組織の「30人の壁」について話しました。

何しろ実質10分くらいだったんで、あっという間に終わっちゃいまして詳しいことはほとんど話せませんでした。

 

 

今日のブログは、その時に時間があれば話したであろうことを書いてみたいと思います。

 

・俗説:一般的にこう言われてますよね

・うんちく:人数についての理論というか、うんちくをかいつまんで

・実際の企業組織での本質:今野が考える企業組織での本質的問題

 

の3つについて、長くならないようにしたいとは思うのですが、どうなりますか。

 

 

 

【 俗 説 】

 

一般的に、ベンチャー企業には、成長に従って「30人の壁」「50人の壁」、そして「100人の壁」がやってくると言われていますね。

 

 

30人の壁は、社長が一人では(あるいは経営陣だけでは)見られなくなり、組織ができる。

 

50人の壁は、ピラミッドが複雑化して、教育が必要な新しい人も増え、マネジメントの機能不全が起こりやすくなる。

 

100人の壁は、多様性のある社員の坩堝になり、管理職も二桁になり、ベクトルが怪しくなる。

 

ざっとこんな感じでしょうか。

 

 

 

 

【うんちく】

 

この「人数の壁」には、3つぐら覚えておいても損はない言葉と考え方があるようです。

(もっとあると思いますが、すぐ思いつく3つを書きます)

 

 

1.認知限界

 

最初の30人の壁は、一人が見ることができる限界を超えることがポイントですね。

 

「認知限界」という言葉があります。

 

『認知限界」とは、人間の認知能力や情報処理能力の限界のことを言います。

 

もともとは組織論において、「一人の人間が安定した関係を維持できる人数には限界がある」という文脈でハーバード・アレクサンダー・サイモン(経営学者、認知科学者・アメリカ)が用いた言葉でした。

 

人には誰でも認知限界があるので、複雑な情報処理をする際には組織(システムや役割分担)が力を発揮するというわけです。

 

対象となる情報や人を細かく分け、組織として対応することで、一人の人間では実現できない高度な情報処理やマネジメントを実現しようとします。

 

 

 

2.ティッピングポイント

 

別のアプローチからも認知限界の考え方が取り上げられていました。

 

ワシントンポスト記者だったマルコム・T・グラッドウェルは「物事の流行のプロセスにおいて、それを越えると一気に全体にいきわたる臨界点が存在する」と言い、これを「ティッピング・ポイント」という言葉で提唱しました。

 

マルコムは、人の行動や考えに効果的に影響を与える集団の規模として「150の法則」を論じていました。

 

これは霊長類の脳の研究や狩猟社会のフィールドワークからもほぼ同じ数字が出ており(後述)、150人は人間関係構築の限界の人数とされています。

 

これはあくまでも「限界の人数」ということであって、企業組織の「一人が見られる人数」ということとは別の問題です。

 

 

 

3.霊長類の研究より

 

「ダンバー数」という言葉があります。

 

霊長類が親密なグループを築くには、大脳皮質の大きさに関係するとし、人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度だという理論です。

 

ダンバーとは理論提案者のイギリスの人類学者のロビン・ダンバーのことです。

 

 

ロビン・ダンバーは、研究の結果、霊長類の脳の大きさと平均的な群れの大きさとの間に相関関係を見出していました。

 

さらに平均的な人間の脳の大きさを計算し、霊長類の結果から推定することによって、人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度であると提案したんですね。

 

 

 

彼は、人間関係の階層を次のような0~3階層で述べていました。

 

  • 第0階層:3~5人(危険な時に駆けつける、お金の相談をする、助けを乞う、秘密を打ち明けれるとても親密な友達)

  • 第1階層:12~15人(月に1回程度会うような親密な友達。「シンパシーグループ」と呼ばれる)

  • 第2階層:45~50人(距離のある友達)

  • 第3階層:150人(友達の限界であるダンバー数)

 

この論でいけば、マネジャー一人がマネジメントできる人数としてみれば、第0階層か第0階層と第1階層の間ぐらいということになるかもしれませんね。

 

 

 

4.組織上の本質

 

さて、では実際の企業組織での「一人で見られる人数に限界が来る」ということのポイントを考えてみたいと思います。

 

まず前提として私が思うに「30人」「50人」「100人」という俗説の区切りのいい人数にはあまり意味がないのではないかと考えています。

 

分かりやすく、印象に残りやすい論として述べるために区切りのいい人数で述べているわけですが、当然のことながら経営者の能力は千差万別ですから何とも言えないわけです。

 

実際には15人でも組織上の問題はいくらでも起きますし、50人60人までスルスルと順調に成長することもあります。

 

 

ある程度の「傾向」としては言えなくもないですが、人数の問題よりも人数が増えていくことで行き詰ってしまう本質を押さえておくことが重要ですね。

 

細かい点を挙げればきりがないのですが、私は最も肝心なこととして3つのポイントがあると考えています。

 

 

 

①事業(目的)への体温の伝導率

 

一つ目は、創業者の事業への思い、創業への思いが薄れていくということですね。

 

創業メンバーと数人の時期は、集まることも簡単で創業時の思いを継続して語り合ったり、思いの相違が生まれても一人ひとりとじっくり話し合うこともそう難しくなくできるわけです。

 

この「思いの相違が生まれた時に一人ひとりとじっくり話し合うこと」がとても重要なポイントです。

 

 

ズレが生じてから一々じっくり話し合ってズレを修正する時代から、早晩、「思いを明文化して」最初からズレが起きにくいようにする対策が必要になってきます。

 

それが、明文化された「企業理念」であり、「ミッション」であり「ビジョン」であり「行動指針(コア・バリュー)」というわけです。

 

 

こうしたものに創業の精神と事業への思いを絶妙に盛り込むことは、誠に至難の業であり、形式的なものとして受け取られ(逆効果で)、現場が熱さを失い「目の前の作業が目的となる繰り返し仕事」の集団になるなどということは、気を緩めると簡単に起こってしまいます。

 

 

人数がいかに増えようとも(何人になっても)創業の精神と事業への熱き思いの伝導率を下げない施策は、最も重要ポイントです。

 

 

 

②問題解決

 

人数が増えて、社内が混乱してくる次のポイントは「問題解決」ということです。

仕事の相当の部分が社内外に起こる「問題」の解決です。

 

 

内にあっては、職場の人間関係、システムのトラブル、予定の遅れによる軋轢、部門間の軋轢、メンタル不調の問題、等々

 

外にあっては、お客様からのクレーム、取引上のトラブル、ミスによる信頼の失墜等、現場の業務上の問題から出資者が複数いる場合には株主との関係における問題も起こります。

 

 

 

「一人では見切れなくなる」と一言で簡単に言いますが、最も負担になり、仕事が回らなくなりがちなことは、会社規模の拡大(売上拡大、人数拡大)に合わせて加速度的に増加する各種の「問題」への対応ではないかと思います。

 

 

中間管理職を置かなければならなくなるということは、「問題が解決できる人」を配置しなくてはならなくないとも言えるかもしれません。

 

 

問題は「加速度的に増える」と書きましたが、問題が増える要因は、

 

・社員数の増加(採用)に伴って、会社の事業の未経験者の入社が増えて来る

・新卒採用を始めると働くことそのものの初心者が増えて来る

・色々な価値観(多様性のある)の社員が増えて来る

・新規事業などが始まり、業務のオペレーションがなかなか落ち着かない

・部門ができてきて、部門間の調整ごとが発生してくる

 

等々、いくらでも考えられる状態になっていきます。

 

こうした場合に早急に必要なことが発生します。

 

・一定割合でその仕事の「専門家」を配置する必要がある

・全社員(特に若手層)のビジネス基礎体力をスピーディーに鍛える必要がある

・管理職には「問題解決」のスキルが必須

 

 

「問題解決」を上手にやれる組織にして、肝心の「お客様に向き合う」という最も肝心なことへの時間とエネルギーと集中力が疎かにならないようにしなくてはならないわけです。

 

 

③インフラ

 

三つ目は、会社組織に「インフラ」が必要になる、ということですね。

 

「インフラ」とは?

「生活や産業などの経済活動を営む上で不可欠な社会基盤と位置づけられ、公共の福祉のため整備・提供される施設の総称である」Weblio国語辞典より

 

という定義になっていますが、会社組織を維持し、事業を回していくための基盤の仕組みというような意味になりますね。

 

 

事業上においては・・・

・顧客管理システム(セールスフォースなどの営業プロセス管理も含めて)

・各種の業務処理システム

・業績管理システム(目標管理との連動を含めて)

 等々・・・

 

社内においては

・会計システム

・人事制度(役職等級・評価・報酬)

・教育研修システム

・情報共有システム(社内報やイントラネット、社内SNS等)

・会議体

・福利厚生

 等々

 

ある程度の人数を超えると、手作りでは間に合わなくなりますし、個別対応ができなくなります。

 

運用が安定していて、手間がかからない、「システム」になっていないと、肝心の「事業を回す」ということに支障が出るようになってきますね。

 

 

この中で特に悩ましいのは「人事制度」や「教育研修」といった、人に関わるシステムですね。

 

 

難しい理由は、どの企業にも当てはまる絶対的な理想の形、パッケージが存在せず、自社の事情、目指す姿に向けて自力で設計構築しなくてはならないからです。

 

概して、組織や人がらみの施策については戦略性が低くなりがち(組織戦略が存在しない)な企業が多いのですが、このことについては場をあらためて議論したいと思います。

 

 

 

これらの

・創業の精神や事業への思いの伝導率が下がる問題

・問題解決が追い付かなくなる問題

・インフラ準備の問題

 

はある程度予測可能ですので、早目に手を打ちながら進むことが必要ですね。

 

検索するといくらでも出て来ますし、そのような書籍もありますし、経験豊富な先輩に学ぶことも必要かもしれません。

 

 

ものすごく長いブログになりましたので、触れたいことは山ほどありますが、また組織ラジオやブログなどでも取り上げていくことになると思います。

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